全面収納を作るためには、綿密な計画が必要

壁一面を、本棚や収納で埋め尽くす。多くの人にとって憧れではないでしょうか?
特に、DIYをされている方であれば、いつかは自分で壁面収納を作りたいと思っておられる方も多いでしょう。

それで、このページでは、壁一面の壁面収納を作るためのコツをお伝えします。


収納写真
これは、我が家の手作り収納(壁全面ではないが、天井いっぱいの収納)


まず、必要なことは、十分な検討を重ねるということです。
テーブルや椅子などの比較的小さな家具であれば、とりあえず簡単なスケッチだけで作ることも可能です。
そして、途中で問題が発生したとしても、少し調整すれば、うまくいく事も多いでしょう。

ですが、壁面収納となれば、そう簡単にはいきません。
大きな家具である分、問題に気づいたときにはどうにもならない。もう一度、一からやり直しってことになりうるのです。

ですから、実際の作業に入る前によく検討をすることが必要なのです。
では、どのようなことを検討する必要があるのでしょうか?
幾つかのポイントをお伝えしたいと思います。


まずは、図面を作成する

どのような家具にするかを頭の中で考えたなら、それを図面にしてください。
できれば、スケッチではなく、定規などを使って、寸法をきちんと反映させることが大事です。
つまりスケールを守るということです。

普段、図面を書かない方には少し難しいかもしれませんが、まずは実際の大きさの100分の1で図面を描くようにすると良いと思います。
つまり、1m四方の四角を描くとすると、1mつまり1000mmの100分の1ですので、図で描くと10mm角になります。

方眼紙などを使って、まず図面を描くことから始めてください。

後ほど解説しますが、この図面が重要になってきます。


全面収納は斜めの寸法が重要

では、なぜ図面を描く必要があるのかですが、それは、せっかく作った家具が、所定の位置に置けないなんてことにならないためです。

特に、よくある失敗は、床に寝かせて作った家具を起き上がらせようとしたら、天井に当たってしまって、起き上がらせることができないというものです。

どういうことでしょうか?
図を作ったので、ごらんください。

全面収納解説1
この図では、天井の高さが2,400mm(以後すべて単位はmmとします。)で、天井よりも少し小さく家具を作ったとします。
家具のサイズは高さが2,380で、奥行を400と仮定します。

このような家具を作る場合、大抵は図のように床に寝かせて作成するのではないでしょうか。
そして完成したので、起き上がらせようとします。すると完全に起き上がる前に天井にぶつかってしまいます。

高さは天井より小さいのに、なぜこのようになるかと言いますと、一番長いのは斜めの寸法だからです。

全面収納解説2


実際、この家具の寸法を測ってみると、2,413でした。つまり、天井よりも大きいので、起き上がらせることができなくなってしまうのです。


ですから、このような失敗をしないためにも、図面を描いて高さと巾だけでなくて、斜めの寸法も確認する必要があるのです。


搬入経路の計画も重要

もう一つ重要な検討項目を上げておきます。

それは、搬入経路の検討です。
これは、実際の仕事でも時々起きるトラブルなのですが、大きな家具を作って家の中に搬入しようと思ったら、ドアや窓が小さくて入らないということがあるのです。

そのようなことにならないために、搬入経路の検討は非常に重要です。

これは、壁面収納を作る部屋ではなく、別の場所(庭など)で家具を組み立てる場合ですが、・・・。

搬入経路の検討で思いつくのは、先ほど述べたドアや窓のサイズだと思うのですが、ほかにもあります。
特に気をつけるべき点として、廊下の巾と形状です。

全面収納_解説
この図の場合、玄関から家具を入れるとしますと、まず最初の関門は玄関ドアのサイズです(図には描いてないですが、・・・)
次の関門は、廊下が折れ曲がっている所です。
直角に曲がった廊下ですと、家具を通せないということがよくあります。

さらに、部屋に入るドアの寸法が最後の関門になるでしょう。
通常は、玄関ドアよりも大きさが小さいことが多いので注意が必要です。
また、図にあるようにAの寸法(枠の内側)ではなく、Bの寸法(扉を空けたときの内側から枠まで)の寸法を測っておくことが必要です。(扉を取り外せるのならA寸法でいいのですが・・・)

このような搬入経路の検討を怠るとせっかく作った家具が部屋の中に入れないということが起こります。

実際、わたしも工務店の仕事をしていたときに、作った家具が玄関からは入れられず、2階の窓から入れたということがありました。

こんなことにならないように、どんな家具を作るかを検討すると同時に、どこで制作するか、どのように部屋に搬入するかを検討しましょう。



さて、ここまでで、壁面収納を作る上で検討しておくべき点を幾つか書きましたが、いかがだったでしょうか?

すぐに、作業に取り掛かりたいという気持ちはわかりますが、まずここまでの情報を参考に十分な検討を重ねるkとをオススメします。それが、壁面収納を作る上で失敗しないためのコツです。





全面収納参考図

ここからは、全面収納の参考図を作りましたので、この図面で、全面収納を作るコツを解説していきたいと思います。

(図面上で右クリックして、”名前を付けてファイルを保存”を選択すると図面のデータをダウンロードできます。(pdf))


今回は、収納の真ん中にTV台を設け、両サイドを収納棚にしました。

主な材料は、集成材t=25、t=15、シナベニアt=5.5です。あとは、可動棚を作るために、ダボレールが必要です。
下地材は、寸3(35x35)さえあれば十分です。

壁一面の全面収納を作る場合、幾つかに分割して、後でつなげれば作りやすいです。
今回は、巾木部分を合わせて、6分割しています。分割した家具と家具のあいだ部分は集成材t=15にしていますので、あまり分割部分は目立たなくなると思います。


引き続き、この図面を元に全面収納の作り方を解説します。

全面収納手順ーまずは台から

ここからは、全面収納を作る手順を、サンプル図面で説明したいと思います。

前提として、材料をカットするのは、庭やガレージ等でするとし、組み立ては実際に全面収納を設置する部屋で行うものとします。
理由としては、前にも述べたように全面収納となると分割するとしても大きな物となりますので、搬入等が困難になるからです。

組み立てを部屋でするということは、組み立て後に塗装するとすれば、部屋の中で塗装しなければならず、養生等が大変です。ですので、塗装は組み立て前に、しておくのが良いと思います。

では、実際の手順を解説します。

まず、最初は台から作成する。 最初は、家具が載る台を作成します。

全面収納_台

(図面上で右クリックして、”名前を付けてファイルを保存”を選択すると図面のデータをダウンロードできます。(pdf))


この台の部分を作るときのポイントは、家具の奥行きは350mmですので、それよりも10mm小さく340mm作ることです。さらに、巾木は、台 全体はH=100mmですが、それよりも少し小さく95mmします。そうすることによりあとで、家具を載っけた時にがたつかずにすむと思います。



そして、賃貸住宅でも作れるというのが、今回のテーマですので、そのため台の両サイドにつっぱり部材を取り付けるようにしました。

つっぱり部材を取り付けるために、寸3を台の両サイドに固定しておきます。

つっぱり部材ですが、今回は、寸3でコの字の形状にすることとしました。

台用つっぱり

このつっぱりを壁に押し付けるように、寸3にビスで固定します。



ここまでできましたら、この台の上に載る家具を作っていきます。

収納1_参考図

では、台ができたら次は、ついに上に載る家具です。

最初の図面の収納1を例に説明していきます。

全面収納_収納1
(図面上で右クリックして、”名前を付けてファイルを保存”を選択すると図面のデータをダウンロードできます。(pdf))



この家具を作るポイントは、幕板用の下地材(寸3)と、つっぱり材用のつっぱり材(寸3)を取り付けておくことです。その際、家具よりも少し小さめにします。そうしておくことによって、すべての家具を組み合わせたときに、下地材がぶつかり合うことがないようにすることができます。

さらに、側板(縦)より棚板(横)を5mm小さくすることも綺麗に仕上げるポイントのひとつです。

こうした点に注意して作成していただければ、良い仕上がりになると思います。

ちなみに、つっぱり部材は、台の作成の際に、解説したコの字型の部材を作っていただけたら良いと思います。

最後に幕板を取り付けて完成

収納1を例に家具の作り方のポイントをお伝えしましたが、同じように順番に作成していき、つっぱり材を取り付け、さらに、家具どおしをビスで固定してください。側板が15mmですので、それが2枚で30mm よって25mmほどのビスがちょうど良いと思います。

家具を台に対しても固定することもわすれないようにしてください。

すべての家具を固定したら、最後に幕板を取り付けます。
図面では、幕板は100mmと設定していますが、実際に家具と壁や天井との寸法とを測られることをオススメします。
特に、壁も天井もまっすぐではないので、場所によっては、100mmより大きかったり、あるいは小さかったりしますので、注意が必要です。


では、全面収納を作られる方は、これらの情報を参考に是非、頑張ってください。